チャリ旅 出会い 第3話

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とうとう静岡県に入った。遠くまで来たもんだ…

(*´▽`*)

ここまでくると得体の知れない恐怖からは解放されていた。大嵐の箱根の山がオレを強くしてくれたのか…。

9月1日午前11時、日本の名水100選に数えられる『柿田川湧水群公園』で午後3時まで昼食&昼寝。

天気もかなり回復していたため、公園内にあった水道で洗濯をした。

近くの弁当屋で買ったのり弁がやけにおいしかった。

どうせなら湧水を飲みたい

(*´▽`*)

と思った。探し回ったがそれらしきものは見つからず

散歩をしていたおじさんに「湧水飲めるところありますか」と聞いてみた。

「あそこだよ」と指をさしたのは、さっき洗濯をした(どこにでもあるような)公園の蛇口だった。

「えぇ!これ?・・・ま、いっか」

( ゚Д゚)(*´▽`*)

持参していたボトルに水を入れた。

海が見たい

(*´▽`*)

と思い地図を広げた。割と近くに『千本浜公園』というものがあり、海岸が広がっているようだ。洗濯したシャツはまだ乾いていなかったが、アパッチ号で走ると風になびき乾くよう荷物に括り付けて走り出した。

ちなみに、シャツの胸プリントは1969’ウッドストックでプレイするジミ・ヘンドリックス。当時のお気に入り。

目的地に着くと、林の向こうに海岸が見えた。

林に入ると、数人のホームレスと思しき人たちが談笑していた。

私はアパッチ号を林の中に置き、海岸に歩み寄った。

海は落ち着く。どんな生き物がいるのだろう。なにか見えないかな。釣り竿とか網とか持ってたらもっと楽しいのにな。将来は歩きで海に行けるオウチに住みたいな。イマジネーションが膨らみワクワクする

(*´▽`*)

海岸は砂浜ではなくゴロゴロ石の浜だった。

「三保の松原の海岸は確か砂浜だったな・・・」などと思いながら、海に石を投げたり無駄にピラミッドのように積んだり生き物を探したりしてしばし遊んだ。

小さな白い石を集めた。とてもキレイな石だった。海水で洗って湧水(だと思う)が入っている飲料ボトルに入れた。20個ほど入れた。いまだ謎ではあるが、それが体に良いと思い込んでいたフシがある。・・・狂っていたとしか言いようがないほど恐ろしい謎行動…。

ひとしきり遊んでアパッチ号に戻った。

木陰でタバコを吸っていると、一人のホームレスと思しきおっちゃんが近寄ってきた。

オレ:「タバコ?」

おっちゃん:うなずく

オレ:「いいよ」

といって2・3本あげ、おっちゃんが口にくわえたタバコに火をつけた。

おっちゃんとの他愛もない会話を楽しみ、出発することにした。

道が悪い。ガタガタしていて細かい急なアップダウンの連続。一生懸命漕いでいるのに先に進んでいる実感がない。途中で東海道から外れてしまい遠回りを余儀なくされた。何とか元の道に戻ることができたが、尻とハンドルを握る手が痛い。

やっちまった・・・

(-_-)

ついさっき立ち寄ったコンビニの外ゴミ箱の上にグローブを忘れてきたらしい。気付いた時にはかなり進んでいたため後戻りはできない。

悪い流れには逆らえない。下り坂を気持ちよく下っていたら後輪がパンクした。幸いなことに、その道沿いにあったバイク屋で直してもらえた。

バイク屋のおやじさん:「どこに向かってるの?」

オレ:「横浜からチャリで沖縄を目指しています」

バイク屋のおやじさん:「おおっ!がんばってね!」

すぐに直せてラッキーだった。辺りはすっかり暗くなっていた。

知らない道。知らない土地。

心細いぞ

( 一一)

午後8時半を回っていただろうか。

ふと気が付くと、

同じようなマウンテンバイク。同じような大荷物。同じようにお互い停車させて地図を確認しながらの走行。そのため抜きつ抜かれつを繰り返す。

はじめは気にも留めなかったが、明らかに意識と視覚に入っている。

地元の人かな・・・にしては地図見まっくてるなぁ

(*´▽`*)

とか思ってた。

不意に、彼が走行しながら話しかけてきた。寺尾の信号のあたりだったと思う。

彼:「あのう・・・道を聞きたいのですが…」遠慮がちで顔色を窺うように聞いてきた

オレ:「地元の人じゃないからよくわからないんだ」心細かったくせにちょっと冷たく返す

彼:「あ…そうですか…」

彼は疲れ切っているな…

(ー_ー)

第4話に続く

おっくん

おっくん

3児の父。一度きりの人生。焦らず腐らず諦めず。
19年の教員人生に終止符をうち起業。”自然の息吹を身に纏う”子どもたちのアパレルブランドT-ockbayを立ち上げる。

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