チャリ旅 淡路島で野宿アワイチ 第12話

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一世一代の勝負は3分で終了。ギャンブルに負けた私の行先はタイトルの通り淡路島一周(アワイチ)となった。

どこかの島に行きたい(できれば沖縄)と思い所持金70,000円でスタートした。パチンコで5,000円が3分で溶けて残金30,000円ちょっと。帰りのことも考慮に入れると目の前の淡路島を一周して帰路に着くというプランが現実的。

とりあえず先に明石港に着いている彼に電話をし、合流した。

私は彼に、沖縄に渡ろうと思ったがパチンコで負けたため淡路島に渡ることを伝えた。彼はゲラゲラ笑いながら、「そんなこと考えてたのか!ギャンブラーだなあ(笑)。とにかくさ、明石焼き食べようよ。出汁につけて食べるタコ焼きみたいなやつ。美味しいらしいよ」

私:「むぐっ」(金銭的に余裕が…)

彼:「奢るよ」(悟られた…)

情けない話ではあるが、彼の提案を受け入れた。明石焼き食べたい…。

周辺を散策して昭和の香りのする居酒屋に入った。彼は港に着いてから私を待っている間にご飯を食べたようだが、どうしても明石焼きを食べたかったらしい。

”タマゴ焼き“ともいうそうで、なるほど見た目は丸いタマゴ焼き。中身が半熟で柔らかいためぽってりとした半球体。関西の出汁は半透明で香りが心地よい。一見薄味に思えるがしっかりと塩味があった。半分は出汁でいただき半分は席に備え付けてあったソースとマヨでいただいた。

うまかった・・・。奢ってくれてありがとう。彼。

大満足。店を出て「ありがとう!ご馳走様!」と彼に伝えた。

その後港で『たこフェリー(明石淡路フェリー)』のチケットを買い、船に乗り込んだ。当時の価格で自転車を乗せて500円くらいだったと記憶している。彼は自転車をバラして専用の袋に詰めて乗り込んだため300円くらいだったと思う。乗船時間は20分~25分くらい。

たこフェリーは2012年に廃船。現在は淡路ジェノバラインが運行。片道大人500円、小人250円+自転車250円、125㏄以下の原付450円。小型の高速船であるため乗船時間は15分程度。

淡路島に到着。そのまま港で野宿。小雨とともに冷たい海風がビュービュー吹いている。彼は一人用テントを組み立て、自転車をバラして詰め込んでいる専用の袋をテントの中に入れて寝た。私は…ブルーシートに自分と荷物を具材とした春巻きになって寝た。もちろんアパッチ号は雨ざらし。

たくましい。

彼は26歳社会人。私は29歳学生フリーター。この貧富の差。

ただ、羨ましいとは思わなかった。もちろん彼は善人(明石焼き奢ってくれたし…)であり善良な社会人。あくまでも社会人と学生という年齢を超えた対比の中でそう感じたまでだ。

大学生タイスケはモノは持っていなかったけど溢れる知識と好きなことに対する情熱があった。きっと学生同士という境遇が似ていたことで、タイスケが魅力的に見えたのだろう。。

朝になった。時刻は6:30。テントの彼を起こして出発だ。

実は眠れなかった。ブルーシート春巻きは空気を通さないため中で結露が出る。雨には濡れなかったが結露でびしょびしょというオチ…。

緊急事態以外はお勧めできない…。

彼とルート会議をする。アワイチ(淡路島一周)するのであればなるべく海沿いルートで行きたい。彼のPCに進むべきルートが示される。今でこそGoogle mapなどで当たり前にできることだが、当時は本当にすごいと思った。距離は約150㎞。彼の高性能ロードバイクであれば5時間弱くらいで行けるかも。私の完全無欠のオフロード仕様マウンテンバイク”アパッチ号”では7時間以上はかかるのではないか…。なるべく登りは避けたい。

ということで、途中で市街地に入ってなるべく平たんな道で行けるルートを設定した。

さあ出発。

アワイチで印象深かったこと

①一周にかかった時間は6時間ちょっと

②途中でおいしい牛乳を飲んだ(淡路島牧場)

③ウミハキレイキタナイノハニンゲン…

第13話をお楽しみに!

おっくん

おっくん

3児の父。一度きりの人生。焦らず腐らず諦めず。
19年の教員人生に終止符をうち起業。”自然の息吹を身に纏う”子どもたちのアパレルブランドT-ockbayを立ち上げる。

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