チャリ旅 名古屋で豪遊 第7話

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愛知に入るまでの東海道は9割はトラックが通行している。

街灯はほぼない暗がりの国道。自転車のすぐ横を大型トラックがスピードを上げて追い抜いていく。先の方で渋滞していると、並んでいる無数の赤いテールランプがナウシカに出てくる怒り狂った王蟲の群れに見える。

オレ:「ありゃナウシカの王蟲の群れに見えるな」

Tスケ:「なんか怖いですね。東海道外れませんか」

オレ:「オッケー」

私はいつはねられてもおかしくないという意味で怖かった。

夜間走行は大きめの反射板と尾灯を着けていないとかなり危険!後で知った…

とりあえず安全な場所に停車して地図でルートを確認した。

後日、東京でTスケと再会した際に語らった旅のエピソードの一つだ。

本編に戻ろう

(*´▽`*)

スタートした公園から10時間以上漕ぎ続けてきた。今の時点でTスケに野宿という選択肢はない。

ユースホステルや宿を探したが、土地勘もなく22時を回っているため困難を極めた。刈谷の街をふたりで彷徨っていると、『サウナ』のネオンが見えた。

ふたり:「ここにしよう!」即決。

駐輪場に自転車を停め店に入った。荷物が多いためコインロッカーは二つ必要だ。看板は『サウナ』だったが湯船もあり、身体をキレイに洗って浸かった。数日ぶりの風呂。極楽浄土の世界。

風呂を出て広くてテレビがある休息スペースへ。リクライニングするふかふかの椅子で横になった。

「ふぅ」私はため息をついてつかの間の休息を満喫した。隣のTスケを見ると、秒で爆睡していた・・・。

寝るの早すぎ

(*´▽`*)

ホントすぐに寝れる奴なんだな…。

考えてみると先に進んでいるということは、Tスケとお別れする刻も迫っているということ。きっと明日には京都に着くはず。

Tスケの目的地は京都。オレはあわよくばどこかでフェリーに乗って沖縄に渡りたい(その時はそう思っていた)。

ほんのわずかな時間を共にしているだけなのに確かな絆を感じる。

同じようなマウンテンバイク。同じような大荷物。同じような方向に進もうとして偶然出会い、支え合っている。偶然は必然と何かで聞いたことがある。

この出来事は人生を生きる上でのヒントがあるように感じる。昨日会ったばかりなのに本当に不思議だ。お互いに行動したからこそ巡り合えたのは間違いない。

考え事をしながらまどろんでいると、すぐに朝が来た。身支度を整え6時過ぎにサウナを出た。まずは名古屋を目指そう。

走り始めると割とすぐに名古屋に着いた。駅前はビルが立ち並び、かなり都会だった。

駅前のひと際目立つビルに視線が行く。そのビルの屋上あたりに『ビルヂング』と、デカデカと掲げられていたからだ。

オレ:「ビルヂングってあんま聞き慣れない言葉だな…ビルヂング…」独り言のようにつぶやいた。

名古屋では先へ進むことを忘れ、かなり時間をつぶして遊んだ。お互いに都会っ子の血が騒いだか。

私は自転車屋でグローブとサドルにかぶせる尻パッドを購入した。

長いチャリ旅ではグローブと尻パッドは必要不可欠。尻パッドはかぶせてはいたが柔らかい素材だったため、あまり役立っていなかった。そのため硬めのものにした。

尻パッドがないと、尻穴が破れるという地獄をみるらしい…。『やまだサイクル』の旦那さんが教えてくれた鉄則の一つだ。それが怖くてNIVEAをそっとカバンに忍ばせていた(*´▽`*)

ふたりでご飯を食べてからショッピングをしていると、時計は午後3時になろうとしていた。

オレ:「やばっ。そろそろ行こうか」

Tスケ:「かなり遊んじゃいましたね」

オレ:「涼しくなってきたから距離を稼ごう」

ふたりは名古屋を後にした。

ここから京都までの旅路で、タイスケの能力が炸裂する・・・。

第8話に続く

おっくん

おっくん

3児の父。一度きりの人生。焦らず腐らず諦めず。
19年の教員人生に終止符をうち起業。”自然の息吹を身に纏う”子どもたちのアパレルブランドT-ockbayを立ち上げる。

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