チャリ旅 のるかそるか 第11話

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新たに出会った26歳社会人の彼。休日に新幹線で関西に来て自転車を走らせているらしい。帰りは自転車をバラして専用の袋に詰め込んで、また新幹線で帰るようだ。

彼は淡路島を一周する計画だったため沖縄を目指している私と方向は同じ。彼が先頭で、2台の自転車は神戸方面へ走り出した。

そういえばTスケも帰りは新幹線かバスで帰る(自転車は宅配便で送る)と言っていた。きっとそのように旅を楽しんでいる人が多くいるのだ。

私は行きも帰りも自転車一択。

所持金はスタート時で70.000円。今の時点では予想外の出費があり35.000円くらいになっていた。自転車はバラせないため宅配便で送る。そして自分は新幹線で帰ることをシュミレーションすると、その資金的余裕はない(*´▽`*)

ここで金銭面での振り返りをすると

・旅の初期にパンクした修理代とスペアチューブの代金

・コンビニ外ゴミ箱に置き忘れたグローブを買い替えた代金

・サドルのパッドを買い替えた代金

・タイスケとサウナに泊まった代金

・名古屋でタイスケと豪遊した代金  

↑ これらが痛かった

〇飲食代・・・

これらが痛かった…。

旅の心臓となる愛車”アパッチ号”の修理とスペアチューブ代は仕方ないとして、それ以外は事前の準備含めた知識と行動で抑えることのできた出費だ。

今ここでアパッチ号が完全に破損して走行不能となれば、横浜まで徒歩で帰るしかない。いや、待てよ…35.000円あれば新幹線で帰れるか?・・・その前に35.000円で沖縄に渡れる(フェリー)か?

走りながらいろいろなことを考える。「最小限のお金があればいいや」という気持ちでスタートしたことを後悔する。まあ仕方ない。なるようになるわからないことは後で調べよう。

・・・あれ?見えないぞぅ

彼の自転車は速く(私が遅い)、前方にいなかった。しばらくすると、彼は路肩に自転車を停めて待っていた。

彼:「・・・先に行っていいよ」明らかに迷惑そう。

その後、

①「先に行っていいよ」

②すぐに抜かれる

③先で待ってる

④迷惑そうな顔

①に戻る

このくだりは数回あった。

しかも!

彼が履いている競輪選手さながらのピチピチスパッツは尻がスケスケでほぼ丸見え。遅い私を抜き去る際にその尻がペダルをこぐ動作に呼応して躍っている…。

しかも!

ある一定の距離に行くと、彼の背負っているリュックから「ポーン」とかいう電子音が鳴る。

オレ:「なんか音な鳴ってない?」

彼:「ああ~これはね、地図上に通ったところをマークしてくれるんだよ500ⅿおきに。その音」

オレ:「へー(なんだそれ?)」

当時ではかなり高額だったノートPC。スマホやタブレットは存在しておらず、NTTがi-modeからFOMAに切り替わったくらいの時代。もちろんガラケー。

・・なぜか無性に腹が立ってきた。

気楽な一人旅のはずが最新テクノロジー野郎に迷惑がられてケツ見せられてなんじゃこら!(優作風)」と心の中で叫び、とりあえず「オレ遅いから先に行っていいよ。神戸港に着いたら連絡するよ」と伝えた。

彼:「りょーかーい」と言い残し、彼は颯爽と走り出した。一瞬で彼の姿は見えなくなった。速い!

さて、機を取り直して気楽に行こう。私はアパッチ号を漕ぎ出した。遅っ!

明石港に着いた頃には夕刻。ベンチに腰を掛けて沖縄までのフェリーをガラケーで調べた。

フェリーに自転車を乗せて沖縄に渡ると、55,000円!!

現在の所持金は35,000円ちょっと。

( ゚Д゚)「♪無理ーサファリパーク♪」だめだこりゃ

途方に暮れていると目線の先にあったのはきらびやかなパチンコ屋

目の奥から力がみなぎる。(何で?)

5,000円勝負!勝ったら沖縄。負けたら目の前の淡路島」(おいおい…。)

パチンコ屋に入り台を選別。客はまばら。出ている人はほぼいない。(ヤバ店だぞ)

オレは違う!ここで勝って沖縄だぜ!」

CRルパン三世に座る。一世一代のギャンブル。(やめとけ)

あーりゃりゃりゃりゃふーぅじこちゃーん

オレの5,000円はものの3分で泡と消えた。(ほらね)

チーン(-_-)(詰み音)

第12話へつづく

おっくん

おっくん

3児の父。一度きりの人生。焦らず腐らず諦めず。
19年の教員人生に終止符をうち起業。”自然の息吹を身に纏う”子どもたちのアパレルブランドT-ockbayを立ち上げる。

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